違法ダウンロードの法律は必要あるのですか?違法アップロードを取り締まればいいでは?
A:違法ファイルの拡散の抑止が法律の趣旨です。
違法ダウンロードよりも違法アップロードをもっと取り締まれ、というのはよく目にします。
もちろん正しいのですが、違法アップロードそれ自体は実質的な損害は発生していません。
その違法ファイルを誰かがダウンロードすることで実質的な損害が発生します。
もちろん違法アップロードという元を断てば誰もダウンロードはできなくなりますが、実際問題として違法アップロードをなくすことは不可能です。
だからといって違法アップロードが野放しというわけではなく、年間数百人程度は逮捕者がでています。
それだけは不十分だ、ならば違法ダウンロードをする側にも責任を負わせてファイルの拡散を抑止しよう、と作られたのが違法ダウンロードに関する著作権法の改正です。
で、効果はあるの?
最初の改正は2010年1月施行でした。
この時は「違法である」と決めただけで刑事罰は付けられませんでした。
(つまり逮捕等はされないということ)
あまり効果がなかった(と偉い人たちが判断した)のかどうかはわかりませんが、次の改正は2012年10月にあり、今度は刑事罰が付けられました。
(ただし有償著作物の違法ダウンロードのみ)
2010年→2012年という短い期間で、法改正の効果が十分に検証されたのかはやや懐疑的です。
(管理人は、ですが)
さすがに刑事罰というのはインパクトが強いでしょうから、2010年の改正時よりは効果があるのではないかと思います。
ただ施行されたばかりなので効果のほどはまだわかりません。
私見を述べればおそらく多少は減少するかもしれませんが全体としてはそれほど影響はないのではないかと思います。
いわゆる見せしめ逮捕のようなものを行えばそれなりに効果があるのではないかと思われますが、それでも違法アップロードはなくなりませんし、違法ダウンロードもやる人はやるでしょう。
ファイル共有ソフトには効果あり?
インターネット上のサイトを使用した著作権侵害以外に、ファイル共有ソフトを使用した著作権侵害も問題となっています。
違法ダウンロードに刑事罰を付けることはこれに効果があるとも言われています。
ファイル共有ソフトというのは自分の持っているファイルをネット上に公開し、ソフトのユーザー同士でファイルをやり取りするものです。
当然ながら他人の著作物を勝手に公開すれば違法アップロードです。
今までに違法アップロードの罪でファイル共有ソフトのユーザーが逮捕されたケースがいくつもあります。
しかし逮捕された人たちは「一時放流者」と呼ばれる、一番最初にそのファイルを流通させた人たちばかりと言われています。
ファイル共有ソフトというのはその仕組み上、何かファイルをダウンロードすればそのダウンロードしたファイルは自動的に公開状態(アップロード)になります。
このように、他人からファイルをダウンロードした後にファイルをアップロードしている人たちは「二次放流者」と呼ばれます。
二次放流者も違法アップロードをしていることには代わりがないのですが、逮捕することは困難なのだそうです。
何故ならば「ソフトが勝手にファイルをアップロードしているとは知らなかった」と言い訳されたらそれ以上追及できないからです。
刑法では、罪を犯す意思がない場合は罪に問えないと定められています。
(刑法38条)
そのため、最初にファイルを流通させた人間を探し出して逮捕するわけです。
しかし違法ダウンロードに刑事罰が付いたことで二次放流者も違法ダウンロードで逮捕することが可能となりました。
つまり今までは「二次放流者だから大丈夫だろう」と高をくくっていたファイル共有ソフトユーザーも、逮捕の可能性があるとなると使用を止めることが期待されます。
それでもやる人はやるのでしょうが、上記の見せしめ逮捕のようなことがあれば一定の効果はあるかも知れません。
ちなみに違法アップロードは毎年結構逮捕されてます
いちいちニュースで大きく扱われることは少ないですが、違法アップロードでの逮捕者は毎年結構な人数が出ています。
警察庁のサイトでは毎年の逮捕者数が発表されていて、たとえば2010年には368人、2011年には409人と、年々増加傾向のようです。
「ネットワークを利用した著作権侵害での検挙数」なので違法アップロード以外の著作権侵害も含まれるでしょうけれど、違法ダウンロードは2012年10月からですし、ほとんどは違法アップロードと見ていいと思います。
時々「ファイル共有ソフトユーザーを一斉摘発」などの見出しで数人から十数人程度が逮捕される様子がニュースで流れたりしますが、それ以外の目立たないところでたくさん逮捕されているようです。