Youtubeなどの動画サイトは著作権侵害に加担しているのではないですか?
A:法律には触れていません。
Youtubeやニコニコ動画などの動画サイトには違法アップロードされた動画がたくさんあって、著作権侵害に加担しているのではないか、という意見が時々見られます。
確かに一理あるとは思いますが、法律上は問題がないことになっています。
プロバイダ責任制限法という法律があり、この法律内でサイトの運営者が負う責任がはっきりと定められています。
必要な点だけをまとめると、
- サイト内で他人の権利を侵害する行為が行われた時、そのことを知ることができない状態である
- または権利侵害を認識するに足りる情報が不足している
- これらを防止することが技術的に不可能
である場合にはサイトの運営者は責任を負いません。
具体的には、サイトに違法動画がアップロードされても運営はすべての動画をチェックすることは不可能です。(A)
チェックをしたとしても、それが権利者から許可を得てアップロードしたのか、それとも無許可でアップロードしたのかの判断をすることはできません。(B)
一見違法に見えても、投稿者と権利者の間でどのようなやり取りがあったのか(もしくは何のやり取りもないのか)はサイト運営者にはわからないからです。
また現在のところ、違法アップロード自動で判断し弾くようなシステムは技術的に不可能です。(C)
(※Youtubeにはこれに近い技術が導入されていますが、100%ではありません)
つまり動画サイトはプロバイダ責任制限法によって著作権侵害の罪に問われることはない、ということになります。
法律上問題なくても犯罪行為に使用されるのだから規制すべきだ、というのはやや暴論です。
動画サイトに限らずネットで犯罪を犯すことは(やろうと思えば)簡単なことです。
掲示板サイトやブログ、ツイッターなどでは脅迫や犯罪予告、名誉毀損、画像の無断転載などが容易にできますので、運営に責任を負わせるようにするとこういったユーザー投稿型のサイトの運営は不可能になります。
それでは利用者にとって不利益の方が大きいでしょう。
極端なことを言えば包丁も犯罪に使用されます。
便利な道具や技術も使う人次第ということで、悪用できるからといって悪ではないということです。
海外では
プロバイダ責任制限法は日本の法律ですが、海外も同様の法律があります。
(アメリカのセーフハーバー条項など)
しかしドイツでは「Youtubeには著作権侵害動画に責任があり、違法動画が投稿されない仕組みを導入する必要がある」との判決があります。
このあたりは動画サイト最大手で世界展開するサイトである以上は取り組まなければいけない課題、ということでしょうね。