利用したい著作物があるのですが、どうすれば良いですか?

A:許可が必要かを調べ、必要ならば許可を取ります。

ある著作物を利用したい場合、まずはその利用方法が許可が必要なものか否かを考えましょう。
許可なく著作物が使えるケースで紹介している例外規定に該当する場合は、権利者から許可を得ずに著作物を利用することができます。

上記のページで紹介している例外規定は、一般人が日常で著作物を利用するときに関係のありそうなものだけをピックアップしています。
文化庁サイトの著作物が自由に使える場合 | 文化庁のページには、上記ページでは紹介していない例外規定もすべて掲載されています。

著作権の保護期間が終了している場合も自由に利用することができます。
(⇒著作権の保護期間)
著作権(著作財産権)のほか、利用したい著作物に著作隣接権(実演家、レコード製作者、放送事業者の権利)が含まれている場合はそれらの保護期間も終了している必要があります。

もし権利者が、著作物の利用に関しての何らかの表明をしている場合はそれに従います。
権利者によっては権利放棄、パブリックドメインなどで著作物を自由に使用して良いことを表明していることがあります。
(⇒自由に使える著作物)
完全に自由ではなくとも、ある条件内であれば著作物を利用して良いと表明していることもあります。
(使用許諾、ガイドラインなど)

これらに該当しない場合は、著作物を無断で利用することはできません。
ただし「無断で」利用できないのであって、権利者から許可をもらえれば利用することができます。

「許可の取り方」には決まった方法はありません。
まずは利用したい著作物の権利者を調べて、何らかの方法で連絡を取るしかないでしょう。
(メール、SNSのメッセージ、電話など)
相手が企業の場合はお問い合わせ窓口などが設けられていることもあります。
ただし一般的にいえば、企業相手では許可が取れないか、取れるとしてもそこそこ高額な使用料が必要になります。

実際に使用の許可を得る場合は著作物の使用契約を交わすことになります。
契約というのは口頭でも成立するものですが、後々のトラブルを防ぐために契約書を作るのが一般的です。
契約書は相手が用意するものにサイン・捺印する場合もありますし、自分で用意する場合もあります。
自分で作成する場合は、文化庁サイトに著作物の利用許諾契約書作成のマニュアルがあるので参考にしてください。
誰でもできる著作権契約

相手に断られた場合はどうすることもできません。
その著作物の利用は素直に諦め、別の著作物で代替できないかを検討しましょう。

著作権管理団体が管理する著作物

著作権の管理は、作者本人ではなく著作権管理団体が管理している場合があります。
音楽著作権を管理する「JASRAC(日本音楽著作権協会)」が有名でしょう。
こういった団体が管理している著作物は、著作権管理団体が交渉の窓口になっていることがあります。

著作権管理団体は文化庁(文化庁長官)への登録制で、文化庁サイトで登録業者一覧が公開されています。
著作権等管理事業者の登録状況 | 文化庁

著作権者が不明な著作物の場合

利用したい著作物の権利者が誰なのか不明な場合もあります。
例えば作者の死亡や会社の倒産などで権利が誰に相続・譲渡されたのかが分からない場合や、単に作者が誰なのかさえも分からない場合もあると思います。

このような著作物は、文化庁の裁定制度により利用可能な場合があります。
著作権者不明等の場合の裁定制度 | 文化庁

これは権利の所在が不明な著作物を利用する場合に、文化庁に補償金を預けることで利用が可能になる制度です。
この補償金は、将来に権利者が判明した場合に権利者に支払われます。
額は著作物の利用方法によって変わります。

裁定制度は、利用する前に自分自身で著作権者を特定するための「相当な努力」が必要です。
また、文化庁が権利者との間に入って交渉してくれるような制度ではありません。
単に権利者を特定するのが面倒だとか、海外の人で連絡が取りづらいからといった理由では利用することはできません。