許可の要らない著作物の利用方法・5

公開の美術の著作物等の利用(著作権法46条)

公開の美術とは、たとえば公園に設置されている銅像や彫像などのことです。
美術品のほか、建築の著作物もこの例外規定の対象です。
これらはほかの著作物よりもかなり幅広い利用が可能です。

付随対象著作物の時のように、偶然写り込んだ場合などでなくても構いません。
公開の美術はそれをメイン被写体として撮影してネットにアップロードしても構いません。

(公開の美術の著作物等の利用)
著作権法 第46条
美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

  1. 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合
  2. 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合
  3. 前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
  4. 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合

公開の定義

公開とは「街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合」と定められています。
ちょっと長いですが文章自体は難しいものではないので分かるかと思います。
要は建物内ではなく、外に設置されていて誰でも見られるようになっているものが対象です。
「恒常的」とは「ずっと」とか「一定の状態」という意味です。
ずっと同じ場所にある必要はなく、たとえばバスの車体に絵を描いた場合も恒常的に設置されていることになります。

利用できない4つの利用方法

以下の4つのケースに該当する場合はNGです。

  1. 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合
  2. 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合
  3. 屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
  4. 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合

A、同じ彫刻を作ってそれを不特定多数に提供することはできません。
これをされてしまうと同じ彫刻を何個作っても問題ないことになり、著作物の保護がほとんどなくなってしまいます。

B、建築の著作物に該当する建物を、同じ建築物を作って不特定多数に提供することはできません。
これはAと同じ理由です。

C、複製行為をする場合に、複製物を屋外に恒常的に設置するために複製はできません。
彫刻に関してはAで守られますが、彫刻以外の美術の著作物はAはカバーしません。
同じような利用方法を勝手にされると権利者の利益を損ねることになりますので、これを禁止しています。

D、美術の著作物に該当する著作物を、販売目的で複製したり複製物を販売すること。
たとえば公園の彫刻を写真に撮ることやそれをブログにアップロードすることは問題ありません。
しかしその写真を有料で販売することは禁止されます。

原作品であること

屋外に設置されている美術の著作物が、原作品であることも要件のひとつです。
複製物が屋外に設置されている場合はこの例外規定は適用されません。

美術の著作物、建築の著作物であること

屋外に設置されている著作物が、美術の著作物か建築の著作物に該当する必要があります。
たとえば文章の著作物(小説など)が屋外に設置されていたとしても、この例外規定は適用されません。

  • 屋外に設置されている美術品や建物は、かなり自由な利用ができる
  • 写真やスケッチなどを不特定多数に公開しても問題なし
  • 著作者の利益を損なうような方法は禁止されている