違法ダウンロードと著作権

ネット上に蔓延する違法アップロードファイル

今ではインターネットはごく当たり前のツールとなりました。
非常に便利で有用なものなのですが、その反面誰でも簡単に他人の著作権を侵害できるようにもなっています。

他人が作った作品は他人が著作権を持っています。
自分が著作権を持っていない作品を勝手にネット上に公開(アップロード)することは著作権侵害、違法アップロードという犯罪になります。
(作者から許可をもらった場合は別)
(⇒公衆送信権と違法アップロードも参照)

これは普通の人にも身近な著作権侵害です。
お気に入りのアーティストの曲やアニメなどを動画サイトなどに投稿したり、好きなキャラクターのイラストを描いてネットにアップロードしたり…というのはすべて違法アップロードになります。
(キャラクターイラストについては⇒二次的著作物についても参照)

著作権法上のダウンロードの扱い

ダウンロードとはネットワーク上から自分のPC(や携帯・スマホなど)にデータをコピーすることです。
コピーですから、著作権法上は複製です。
複製ですから、私的な範囲であれば私的複製が適用されますので、個人用途であれば著作者の許可なくコピーが可能です。 (⇒複製権と私的複製参照)

当然ですが、ダウンロードされるデータが著作物ではない場合は著作権法上の複製には当たりません。

ダウンロードというと、パソコン上にダウンロードしたファイルが作成されるようなものをイメージしますが、ネット上のサイトを閲覧するだけでデータのダウンロード(メモリ上などへのコピー)が行われています。
今表示されているこの文章も、ネット回線を通じてパソコンやスマホなどにダウンロードされていることになります。

違法ダウンロードとは

私的利用目的ならすべてのファイルのダウンロードが合法かというとそうではありません。
私的な目的でも違法ダウンロードに該当する場合は違法となります。

違法ダウンロードとは、ネット上に違法にアップロードされている映像・音声の著作物を、違法なものであると知りながらダウンロードする行為を言います。
(複製権の侵害となる)

2021年1月施行の改正著作権法により、違法ダウンロードの条件から「映像と音声」はなくなり、全ての違法アップロードされている著作物が対象となりました。

たとえばYoutubeなどの動画サイトに無断投稿されているアーティストの曲やPV・テレビ番組、違法に配信されている携帯の着うた、ファイルアップローダーに違法投稿されているCDの曲…などをダウンロードすれば違法ダウンロードになります。

ダウンロードがすべて違法?

ネット上では「音楽のダウンロードは全部だめ」とか「Youtubeの動画のダウンロードは違法」などという極端な話も散見されますが、これらは間違いです。
違法ダウンロードは違法にアップロードされている映像または音声ファイルをダウンロードすることです。
合法的にアップロードされているファイルや、映像・音声以外のファイルであればは違法ダウンロードの対象ではありません。

2021年1月施行の改正著作権法により、違法ダウンロードの条件から「映像と音声」はなくなり、全ての違法アップロードされている著作物が対象となりました。

ただしサイトの利用規約でダウンロードが禁止されている場合があります。
またネットには映像・音声以外の違法ファイルも存在します。
これらの場合、ダウンロードする事は著作権侵害にはなりませんが好ましいことではありません。

違法ダウンロードで逮捕される?

違法ダウンロードには実は2種類あります。
ひとつは「違法だが刑事罰なし」、もうひとつは「違法であり刑事罰がある(つまり逮捕の可能性あり)」です。

刑事罰ありの違法ダウンロード

刑事罰のある違法ダウンロードとは有償著作物の違法ダウンロードです。

有償著作物とは「有償」つまりお金を払うべきものという意味です。
有料のCD、DVD、ブルーレイ、ダウンロード販売、インターネットなどでの有料配信、衛星放送の有料チャンネル、などが該当すると思われます。

刑事罰なしの違法ダウンロード

刑事罰のない違法ダウンロードは「有償でないもの」、つまり無償で提供されている映像や音声著作物は、たとえそれが違法アップロードされたものであってもダウンロードすることで逮捕されることはありません。

「違法なのに逮捕されない」とはややこしいかもしれませんね。
違法行為といっても刑事罰がある違法行為と刑事罰がない違法行為の2種類があります。
刑事罰のある違法行為を犯罪といいます。
刑事罰のない違法行為は犯罪とはいいません。

例えば未成年者の喫煙や飲酒などは違法ですが、罰則がありません。
こういったものは意外にあります。

ただし未成年者の喫煙や飲酒は補導の対象にはなりますし、未成年者に酒やタバコを提供するのは犯罪になる場合があります

じゃあ刑事罰のない違法行為ならいくらやっても平気かというとそういうわけではなく、民事裁判を起こされる可能性があります。
裁判を起こされたら、違法である以上ほぼ負けるでしょう。

違法ダウンロードの罰則

違法ダウンロードは著作権侵害ですが、ほかの著作権侵害とはまた別に罰則が定められています。
違法ダウンロードの罰則は「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれの併科」です。
著作権侵害の罰則は基本的に「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれの併科」であることを考えると、やや軽いものとなっています。
(だからといって甘いものではありませんが…)

著作権侵害は親告罪

まとめると、「有料で販売されている映像または音楽著作物が違法にアップロードされている場合、それをダウンロードすれば刑事罰の対象になる(つまり逮捕の可能性がある)」ということになります。

逮捕される「可能性」と書いたのは、著作権侵害は親告罪だからです。
親告罪とは「被害者が訴えない限り罪に問われることはない犯罪」のことです。
公衆送信権と違法アップロードにも書いた通り、違法アップロードであっても権利者が黙認しているものもあります。
そういったものであれば、違法アップロードされたものさえも訴えないのですから、それを違法ダウンロードした人を訴える可能性は相当低いと考えられます。

しかしCD音源そのままアップロードなど権利者に損害になる違法アップロードの場合、それを違法ダウンロードした人も逮捕される可能性は低くはないでしょう。


長くなったので、ページを分割しました。
続きは違法ダウンロードのギモンへ。

  • 違法にアップロードされた映像または音声ファイル著作物をダウンロードする行為が違法ダウンロード
  • 違法ダウンロードに該当すれば私的目的でも違法
  • 有償のもの、つまりCDなどの商品を違法ダウンロードすれば逮捕の可能性あり
  • 合法的にアップロードされたもののダウンロードは合法
  • 違法アップロードされたファイルでも映像・音声以外のファイルのダウンロードは一応合法
  • 違法ダウンロードが成立するには「違法なものであること」を知っている必要がある。詳しくは次のページで…